
魅力満載!ビカクシダ(コウモリラン)の育て方|品種ごとの特徴も紹介
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こんにちは!
インテリアグリーンとして注目のビカクシダ。飾り方やアレンジの自由度が高く、自分好みに育てることができるなどの理由から、一度はまると愛好家まっしぐらの魅力満載の植物です。
ビカクシダの育て方にはちょっとしたコツが必要です!この記事ではビカクシダの基本的な育て方のハウツーと、万が一不調になってしまった際の対処方法をご紹介します。

目次
ビカクシダとは

着生するシダ植物で、胞子葉と貯水葉(外套葉)と呼ばれる形の違う2種類の葉をもちます。成長すると胞子葉が伸びてシカの角のような形になり、1株ごとに個性的な表情を見せてくれる、人気の植物です。別名「コウモリラン」とも呼ばれ、その姿が翼を広げているコウモリに似ていることから名付けられました。ランとつきますが、シダ植物のため蘭のような花は咲きません。
科 | ウラボシ科(Polypodiaceae) |
---|---|
属 | ビカクシダ属(Platycerium) |
原産地 | 東南アジア・オーストラリア北部などの熱帯地域 |
耐寒温度 | 5~10℃ |
耐陰性 | あり |
育てやすさ | やや育てにくい |
花言葉 | 信頼・助け合い・魔法 |
ビカクシダのしくみ

①貯水葉(外套葉)
胞子葉と比べ幅広で、通常は円形の葉となって株元を重なり合って覆っていきます。内部はスポンジ状で、水分や養分をため込みます。古くなると茶色くなりますが、枯れ落ちることなくその状態を維持します。上部はクラウン(王冠)と呼ばれ、長いものや切れ込みに特徴があります。
②胞子葉
シカの角のような形で長く伸びる葉を胞子葉といい、胞子をつけたり光合成を行います。品種によって下垂するもの、上向きのもの、中間のものがあります。星状毛に覆われて葉が白く見えるものもあります。取れてしまった星状葉は元に戻らないので注意して触りましょう。
③成長点
ビカクシダの最も大事な部分で、「リゾーム」とも呼ばれています。葉の付け根にある茶色の毛が生えている所で、全ての葉がここから出てきます。成長点が生きていれば、例え葉が落ちてしまってもまたそこから新芽が出てくるので、心配いりません。
④胞子嚢
胞子葉が成熟すると、葉裏の先などに胞子の入った胞子嚢がつきます。胞子はとても小さな種みたいなもので、シダ植物特有の繁殖法です。品種によって色や付き方が異なります。
⑤根
外からは見えませんが、茶色の細かい根が貯水葉の間や裏に広がり、着生するためにはりつきます。
ビカクシダの育て方ハウツー

ビカクシダはどのように育てると良いのか、置き場や水やりの頻度、植え替えの時期など基本をご紹介します。注意点も記載していますのであわせてチェックしてください。
~ビカクシダの育て方のポイント~
- 年間を通して風通しの良い明るい日陰に置く
- 水やりは湿り気を保ちつつほどよく乾かす
- 寒い時期はできれば10℃を下回らないように
最適な置き場所は?
本来、自生地では木に着生して育つ品種なので、暖かく木漏れ日や心地よい風が当たる環境を好みます。栽培温度の目安は10〜30℃です。
室内では冷暖房の風が直接当たらない風通しの良い明るい場所で管理をし、5〜10月は明るい日陰であれば外でも問題ありません。夏の直射日光は葉焼けの原因になるので注意が必要です。寒い時期は室内で管理し、10℃を下回らないようにします。
水やり頻度は?
春〜秋の暖かい時期は、土や水苔の表面が乾いたら水をたっぷり与え、葉にも霧吹きで水をかけます。気温の下がる冬は水やり頻度を減らし、中まで乾いてから与えます。表面が乾いてから2〜3日後が目安です。完全に乾ききった水苔は水をはじいてしまうので、そのような時は水を入れた容器に株ごと入れるか、一度表面を湿らし数分おいてから再度中まで染み込むように与えてください。
肥料は必要?
なくても育ちますが、与えると根が良く育ち成長が早くなり、大きく育ちます。
真夏日を避けた春〜秋に遅効性固形肥料を2ヶ月に1回、もしくは7〜10日に1回規定濃度のさらに5倍ほどに薄めた液体肥料を与えます。1000倍に薄めるものならその5倍の5000倍です。株を大きくしたい場合は2倍を限度にし、固形肥料も与えます。ただし肥料の与えすぎは根を痛めるため、回数や時期は使用する肥料の規定を守りましょう。15℃以上を保てる環境の場合は、冬の間も与えて構いません。
植え替え方法
鉢植えの場合、鉢底から根が出ていたり、購入してから2〜3年経っていれば植え替え時です。成長点を傷つけないように一回り大きな鉢に植え替えましょう。
〜植え替え時期〜
真夏日を避けた、春〜夏に行います。鉢の内側にへばりつくように根を広げるので、柔らかい鉢の場合はもむようにすると取り出しやすいです。根がびっしり固まっていたらほぐしましょう。
〜使用する土〜
排水性と保水性に優れた水苔がおすすめですが、ココチップやピートモスにパーライトを2割りほど混ぜたものでも構いません。
~植え替え手順~
水苔を使用する場合
- 前日までに水を入れたビニール袋や容器に水苔を入れて、水を吸わせておきましょう。湿り具合の目安は、水苔をぎゅっと握って水が滴らない程度です。
- 鉢から株を出し、根を軽くほぐします。土に植わっている場合は水を入れた容器の中で土を洗い落とします。
- 水に浸しておいた水苔を根が乾かないように、根の間に入れます。その周りをさらに水苔で根が隠れるようにおおいましょう。
- 元の鉢より一回り大きな鉢に入れ、隙間があれば水苔を足します。
- 水をたっぷり与え、風通しの良い日陰で1日様子を見てから元の場所に戻します。
ココチップやピートモスを使用する場合
- 鉢から株を出し、根が張っているようなら軽くほぐします。
- 元の鉢より一回り大きな鉢に入れ、割りばしなどで根の隙間にもいきわたるようにし、最後に株元をぐっと押さえてぐらつかないようにします。
- 水をたっぷり与え、風通しの良い日陰で1日様子を見てから元の場所に戻します。

〜栽培カレンダー〜

剪定の仕方
基本古くなり変色してきた胞子葉を根元付近から切り取るだけでかまいません。茶色くなった貯水葉は、水分や養分を蓄えるのに必要なのでそのままにします。
増やし方
春〜夏に株分けして増やすことができます。親株から子株がたくさん出すぎると、養分や水分が全体にいきわたらず生育が悪くなってくるので株分けします。成長点の数だけ株分けできます。
~株分け手順~
- 植え替えの手順同様、前日までに水苔を水でもどしておきます。
- 切り取る子株の成長点から1㎝以上離れた所からカッターを差し込み、貯水葉を付けたまま根ごと深く切り取ります。切り離した子株にしっかり根が伸びていれば株分けに使用できます。
- 切り取った株についている古い葉を切り葉の枚数を減らします。そうすることで葉からの蒸散を抑えるとともに、根の負担を減らします。


ビカクシダの種類

ビカクシダの原種は18種類ほどですが、近年交雑が進み100種類以上に増えました。その中からいくつか人気のものをご紹介します。
ビフルカツム
主にオーストラリア北東部原産で、最も出回っている原種です。寒さに強く0℃でも冬越しできます。丈夫で比較的安価なため初心者にもおすすめの品種です。光が弱いと胞子葉は垂れ、光が強いと上向きになります。
ヴィーチー(ベイチー)
主にオーストラリア北東部原産の小ぶりな品種で、星状毛に覆われた胞子葉が白っぽく見え、上に向かって細長く伸びます。耐寒温度は5℃。
スーパーバム
主にオーストラリア北東部原産で、王冠のような形の大きな貯水葉が特徴で、大型になりやすいです。グランデに似ており、グランデの名で流通している多くはスーパーバムです。見分け方は、スーパーバムは貯水葉の葉脈がくっきり現れ、二又に分かれた胞子葉の中央一カ所に胞子嚢をつけます。グランデは胞子嚢が二カ所につきます。耐寒温度は5℃。
ウィリンキー
東南アジア原産で、密度の高い星状毛に覆われた白い胞子葉が長く下垂します。耐寒温度は10℃。
リドレイ
東南アジア原産で、シカの角のような胞子葉と、キャベツのような葉脈の貯水葉が特徴的です。高温と低温にも弱いため栽培はやや難しいです。細葉タイプや幅広タイプの品種も出ています。耐寒温度は12℃。
コロナリウム
東南アジア原産で、高温高湿度の環境を好みます。胞子葉は下垂し、分岐した基部の一カ所に胞子嚢がつきます。冬の寒さと乾燥に弱く、耐寒温度は12℃。
エレファントティス
アフリカ原産で、その名の通りゾウの耳のような形の胞子葉が特徴です。耐寒温度10℃。
ネザーランド
オランダ原産で、ビカクシダの入門品種と呼ばれるほど多く出回り栽培しやすいです。耐寒温度は5℃。ビフルカツムの園芸品種のため、ビフルカツムに似ていますが、胞子葉はやや上向きで、先端がうねって下垂します。
BTSS
bifurcatum borthong short specialの略で、ビフルカツムの園芸選抜品種です。短い胞子葉は星状毛が多く多分岐になるのが特徴です。寒さ暑さに強く育てやすいです。
FSQ
foongsiqi(フーンシキ)の胞子培養種の総称です。フーン氏が作り出した品種で、胞子嚢がつくころ胞子葉の先がカールするのが特徴です。フーンシキはウィリンキーとベイチーの交配品種です。
SSフーン(ss foong)
こちらもフーン氏による品種で、胞子葉が多分岐なのが特徴です。
ビカクシダの飾り方 おすすめ3選
いろいろな飾り方で楽しめるビカクシダですが、その中からおすすめをご紹介します。
1.板付け(壁掛け)

自生地では木に着生して育つため、葉の展開の仕方が自然な板付けが一番おすすめです。壁にかけるので置き場所に困らずスタイリッシュに飾ることができます。
デメリット
- 水やりが面倒
- 自分で板付けするのは大変
板の準備や、成長点の向きが上になるように水苔で固定する必要があります。子株の板付けの場合、成長とともに板を大きくし水苔を足す必要があるため、ある程度大きくなった株を購入するほうが安心かもしれません。
2.苔玉

小さめのものであればデスクに置いたり、フックを付ければ吊るすこともでき楽しみ方もいろいろです。水やりは苔玉ごと水をためた容器に入れるだけなので簡単です。
デメリット
- 大きく成長したときにバランスが崩れやすい
- 自分で苔玉にするのは少し大変
置き型にする場合は、設置の際に倒れないように、バランスよく作る必要があります。成長してきてバランスが悪くなってきたら、水苔を足します。
3.鉢植え

一番手軽で安定感があり、株が小さいうちは管理しやすい方法です。
デメリット
- 鉢が障害となり葉がきれいに展開しない
- 株が大きくなると乾き具合がわかりにくい
貯水葉が伸びていくときに、鉢が障害となり葉がいびつになってしまうことも。そのままでも生育に問題はありませんが、ビカクシダのフォルムの美しさは損ないやすいです。
また、株が大きくなると貯水葉が込み合い土の表面が見えづらくなるので、水やりのタイミングがつかみにくくなります。いつもより鉢が軽かったり、葉が垂れているようなら水やりのタイミングです。
ビカクシダが不調?原因と対処法

ビカクシダを生育する上で、起こりうるトラブルと対処法を紹介します。
根腐れ
下記の内容が当てはまる場合、根腐れの可能性があります。
- 水をあげても元気にならない
- 土や水ゴケがなかなか乾かず、水やりの頻度が減った
- 生長点や出始めたばかりの葉が黒ずんでいる
- 土や水ゴケの表面にカビが生えている
ビカクシダは乾燥を嫌いますが、水を与えすぎて根腐れをおこすこともあります。また、冬の寒さに当たって成長点が黒ずむこともあります。
~根腐れの対処法~
風通しの良いところに置き、根の周辺の湿度を低くします。葉に当たらないようにドライヤーで冷風をかけてもよいでしょう。寒い時期の場合は暖かいところに移動します。
鉢植えの場合は、春〜秋なら植え替えをしてもよいでしょう。
害虫
下記の内容が当てはまる場合、カイガラムシの可能性があります。
- 白の貝殻に覆われたような虫を見つける
- ロウの塊のようなものを見かける
- 黒いカビがある
- 葉や幹がベタベタしている
春〜秋に見かけることの多い「吸汁害虫」で植物の生育に悪影響を及ぼしたり、病気を引き起こしたりする害虫です。
~害虫の対処法~
カイガラムシの成虫は硬い殻で覆われているため薬剤が効きにくいです。なので歯ブラシや手で取り除きましょう。

褐斑細菌病
下記の内容が当てはまる場合、褐斑細菌病の可能性があります。
- 葉に黄色から黒色の斑点ができ、次第に範囲が広がっていく
- 風通しが悪く、湿度の高い暗い場所に置いている
暑い時期と寒い時期に、株が弱っていると細菌に感染し発症します。
~褐斑細菌病の対処法~
発症したら元に戻らないので、幹部を大きく切り取るか葉ごと切ります。置き場所が暗く蒸れると発症しやすいので、風通しの良いところに置きます。水や接触で他の株に伝染するため注意します。
ビカクシダを買う時のポイント
ポイント1 元気な株かどうか
- 成長点が黒ずんでいたりぐらついていない
- 葉の表裏をみて害虫の発生していないもの
ポイント2 飾り方の用途で選ぶ
- テーブルの上に置く:「苔玉」か「鉢植え」
- 壁掛け:板付け
- 吊るす:「苔玉」か「吊り鉢」
ポイント3 品種で選ぶ
- 小型ならドワーフと名につくものを選ぶ
- 大型ならスーパーバムやグランデ
品種によって株の大きさや葉の形、色合いなどが違うため、自分好みの株を探して楽しみましょう。