バイオフィリックデザインは、もともとは学術的な理論から始まり、建築・空間デザインの指標へと進化しました。
現在では「人的資本経営」や「ウェルビーイング」の観点から、企業や都市開発において欠かせない戦略的要素となっています。
ここでは、バイオフィリックデザインの起源から、最新の活用状況、科学的根拠までを、私たち樹利園芸丸店が 分かりやすく解説すると共に、オフィスでの導入方法を解説します。
目次
なぜバイオフィリックデザインが注目されているのか
バイオフィリックデザインは、学術的な理論から始まり、建築・空間デザインの指針へと進化しました。そして現在、バイオフィリックデザインは経営戦略の柱となりつつあります。まずはその始まりから現在までを解説します。
そもそもバイオフィリックデザインとは? 起源と広がり
バイオフィリックデザインの起源となったのは、アメリカの生物学者であるエドワード・O・ウィルソンの著書『Biophilia(バイオフィリア)』(1984年)の中で提唱された「人間には先天的に、他の生命体や自然とのつながりを求める本能がある」という仮説です。
この仮説をもとに2000年代半ばからデザインへの応用がはじまり、エール大学のスティーブン・ケラート教授が、このバイオフィリアの概念を建築や都市計画に応用する体系としてバイオフィリックデザインを確立しました。彼は自然光、通風、自然素材、植物などの要素をどう空間に取り入れるべきかを定義したのです。
2010年代半ばに入るとGoogleやAmazon、Appleなどのテック企業が「従業員の創造性と幸福度を高める」ために、巨大な植物園のようなオフィス(例:Amazon Spheres)を建設し始めたことで、ビジネス界にも急速に浸透し始めました。
そして2020年代のコロナ禍におけるリモートワークの普及によってオフィスに通う人が減少した中、改めて「通う価値のあるオフィス」を打ち出すその理由として、ストレス軽減やメンタルヘルスケアを目的としたバイオフィリックデザインの導入が加速して行きました。
現在の注目理由は経営指標
現在、バイオフィリックデザインは単なる「おしゃれな緑化」ではなく、経営指標として活用されています。主な理由は以下になります。
国が推進する「グリーンインフラ」との親和性
国土交通省の「グリーンインフラ推進戦略」では、自然環境が持つ多様な機能を社会課題の解決に活用することが掲げられています。オフィスへの緑の導入は、都市の生物多様性への貢献のみならず、持続可能な都市環境を構築する企業姿勢の証明となります。
ウェルビーイング経営と従業員エンゲージメント
厚生労働省が提唱する「ウェルビーイング経営」において、心身の健康は生産性の基盤です。バイオフィリックデザインを取り入れた職場はストレス値を下げ、従業員のエンゲージメントを向上させることから、従業員の健康は企業の利益に直結します。また離職率の低下にも繋がります。
人的資本経営の具体策「選ばれるオフィス」へ
投資家や求職者から「人的資本」をいかに大切にしているかが問われる時代です。緑や自然を戦略的に配置したバイオフィリックデザインオフィスは、企業のブランド価値を可視化し、優秀な人材を引きつける強力な武器となることから、オフィス環境への投資として重要視されているのです。
バイオフィリックデザイン導入のメリット

バイオフィリックデザインをオフィスに導入した企業には、どのような効果が生まれるのでしょう。具体的なメリットを挙げていきます。
知的生産性の向上
多くの研究データにより、オフィスに植物があることで「創造性が15%向上し、生産性が6%向上する」といった相関関係が示されています。視界に入る緑は、脳の疲労を軽減し、集中力の持続を高めるという研究結果です。
(Human Spacesレポート: 英ランカスター大学/ケイリー・クーパー博士による「世界中の職場におけるバイオフィリックデザインの効果」より)
無機質ストレスの解消
PCやコンクリートの壁に囲まれた無機質な空間は、知らず知らずのうちに生理的ストレス(皮質コルチゾールの抑制など)を蓄積させます。しかしそこにバイオフィリックデザインを導入して植物を配置すると、植物が放出するフィトンチッドの効果や、視覚にグリーンが入り込むことで副交感神経が優位になり、心理的な安心感をもたらします。
採用コストの削減
オフィス環境の充実は、採用市場での差別化要因になります。「ここで働きたい」と思わせる空間づくりは、結果として高騰する採用広告費やエージェント費用の削減という経済的メリットを生み出します。
社内投資として知っておきたい指標「緑視率」
投資対効果を最大化するために、樹利丸園芸店が重視しているのが「緑視率」という指標です。緑視率とは、人の視界(視界角)の中を占める植物の割合を数値化したもので、「椅子に座って前を見たときに、どれくらいの緑が目に入るか」という視覚的なボリュームを指します。
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理想の緑視率は10%〜15%:
現在、視界に占めるグリーンの割合が10%〜15%のときが最も心理的ストレスが低く、パフォーマンスが高まるという研究結果が出ています。多すぎても作業の妨げになり、少なすぎても効果が薄れます。 -
配置の「戦略化」が成功の鍵:
全フロアに均一に置く必要はありません。執務エリアのデスク周り、あるいは緊張感の高い会議室など、重要なポイントに効果的に配置することで、最小限のコストで大きな効果を引き出せます。

【関連記事:「緑視率」で変える次世代オフィス戦略|生産性を向上させるオフィスグリーンとは]
オフィス機能を最大化するための場所別グリーン戦略
実際にバイオフィリックデザインを取り入れている樹利丸の事例を、いくつかご紹介致します。
エントランス【企業の顔としての信頼感】

来客が最初に目にするエントランスには、企業のアイデンティティを象徴するシンボルツリーや壁面緑化を配置。清潔感と成長性を演出し、ステークホルダーからの信頼感を醸成します。
ABW空間・リフレッシュルーム【偶発的な対話】

休憩スペースや自席を持たないABW(Activity BasedWorking)では、植物を自在に配置して楽しんだり、リラックス効果をより高めることができます。また、偶発的なコミュニケーションや、新しいアイデアの創出を促します。
フォーカスエリア【深い集中を支える】

「集中する」ための空間では、視界の端にグリーンを配置。外部からの視線を緩やかに遮りつつ、視覚的なノイズをカットすることで、深い集中状態(ゾーン)への突入をサポートします。
維持管理の課題を解決するローメンテナンス運用
「植物は管理が大変」という懸念は、設計段階の工夫で解消可能です。
オフィスの環境に適した品種を選定するのが鍵
オフィスの光量などを考慮し、「耐陰性(植物が日陰や弱光下でも枯れずに生育できる能力のこと) 」などを備えた品種を選択することが大切です。
また、日常の簡単なチェックを行う社内担当者を決めておくことも重要ですが、専門的な剪定や施肥はプロに任せることで、従業員の本来の業務を妨げることなく、美しい景観を維持できます。
オフィスに適した耐陰性のある代表的な植物の例
- パキラ(乾燥にも強い)
- モンステラ(乾燥にも強い)
- シェフレラ(乾燥及び病害虫にも強い)
- パンダガジュマル(環境適応力に優れ、病害虫にも強い)
- ドラセナ(病害虫にも強い)
など
詳しくお知りになりたい方は、樹利丸園芸店までお問合せ下さい。
まとめ:オフィスグリーンは「成長への投資」です

樹利丸(じゅりまる)園芸店が目指すのは、ただ植物を並べることではありません。私たちがこだわっているのは、働く人が「やすまる、たかまる、あたたまる」環境の構築です。
これらは決して一時的な「福利厚生」という名の経費ではありません。従業員の心身の健康を守り、そのパフォーマンスを最大化させることは、中長期的な企業成長を支える「最も確実な投資」であると考えているからです。
オフィスグリーンを通じて、貴社の人的資本経営を次のステージへ。樹利丸園芸店が、そのパートナーとして伴走いたします。
バイオフィリックデザインは、現代のストレス社会において、人間が本来持っている「自然への欲求」を満たすことで、経済性と幸福を両立させる合理的な手法なのです。